いまは、空しか見えない

白尾悠著 2018年新潮社刊行
初出「小説新潮」(2017年)、書き下ろし

  • 夜を跳びこえて
  • かなしい春を埋めに
  • 空のあの子
  • さよなら苺畑
  • 黒い鳥飛んだ

「夜を跳びこえて」(「アクロス・ザ・ユニバース」)が
第16回女による女のためのR-18文学賞」受賞作。
智佳の高校生時代、智佳のお母さん、智佳の大学生時代、
智佳の友人で高校時代の物語にも登場した女性、智佳の社会人時代と
智佳を中心とした連作短編集。
どの作品もそれぞれの主人公のヒリヒリとした感情が十分伝わりとてもレベルの高い作品だと思った。
暴力父親からの支配からの開放が最終話できっと出来たと思う。

あんたは、悪くない。ぜんぜん、悪くない。
智佳は優亜に向けて、自分自身に向けて、世界中に向けて、咆哮を上げた。

この叫びが今の世の中の子供たちに伝われば良いなととても思った。
今は空しか見えないが現実を直視する強い力を持てればと思う。
智佳やその友人たちのその後も読んでみたい。
とても良い作品。

いまは、空しか見えない

いまは、空しか見えない

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