花の鎖

湊かなえ著 文春文庫刊行 2011年単行本(文藝春秋)、2013年文庫化
単行本でも読んでいるので再読。
内容は分かっているけど、最後に一気に3つの物語が収束するのは気持ちが良い。

本書は、この構成の巧みさに目が奪われがちですが、やはりテーマは、湊作品を貫く「母と娘」。
『告白』が「黒」だとすれば、本書は「白」。
『告白』の主人公とはまた違った母の強さ、女性のしなやかな美しさ、母と娘の強固なつながりを描いたところに、湊さんの意欲を感じます。

と解説(加藤泉)でも言っているように、「母と娘」というのが湊かなえのテーマなんだろうなと思う。
あと、

きみがおばあさんを好きなのと同じように、僕はおじいさんが好きで、おじいさんを解放してあげたいと願っているんだ

というように片側からだけ描くのではなく、両側から描いた点も良かったと思う。
「花の鎖」というタイトルも上手。
登場人物で混乱するけど面白い。

花の鎖 (文春文庫)

花の鎖 (文春文庫)

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