ホテルローヤル

桜木紫乃集英社文庫刊行
2013年単行本(集英社)、2015年文庫化
第149回直木賞受賞作
初出誌「小説すばる」(2010年〜2012年)および書き下ろし

  • シャッターチャンス
  • 本日開店
  • えっち屋
  • バブルバス
  • せんせぇ
  • 星を見ていた
  • ギフト

単行本でも読んでいるので再読。
単行本を読んだときは桜木紫乃初読みだったので、
何がなんだか分からない、退廃的で陰鬱な内容で面白くないなぁという印象だった。
その後、桜木紫乃作品を読み漁り、桜木紫乃ワールドの虜にすっかりなって、
この作品を読み返してみると、何とも言えない味わいがある。
みんな疲れてたり、上手くいかなかったりで、暗くなりそうなんだけど、
最後にはほんの少しだけほんの少しだけ前向きになっているように思える。
現在から過去へ遡る構成だけど、少しずつ影響しあっていて、
過去のその選択が未来へ影響してることが分かっていたりして、そこが何とも面白い。
解説(川本三郎)で

この時、「ホテルローヤル」という場所は、弱い人間たちの本当の意味の「隠れ場所」になっている。

と言っているが、
ホテルローヤル」があったから少しだけ前向きに生きることが出来た人たちの物語なのかなと思った。
「バブルバス」「星を見ていた」が好き。
疲れきっている奥さんにもう少し明るいご褒美がありますようにと願ってしまう。
とても良かった。

ホテルローヤル (集英社文庫)

ホテルローヤル (集英社文庫)

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