何もかも憂鬱な夜に

中村文則集英社文庫刊行
2009年単行本(集英社)、2012年文庫化
こういう生きること、死ぬこと、命とはというようなのは苦手。
ここまで真剣に考えて生きてないからなのかな...
ただ、本作品には解説(又吉直樹)があり、どこをどういう風に読み解けばいいのかのヒントを示してくれているのでありがたかった。

現在というのは、どんな過去にも勝る。そのアメーバとお前を繋ぐ無数の生き物の連続は、その何億年の線という、途方もない奇跡の連続は、いいか?全て、今のお前のためだけにあった、と考えていい


太古から続く生命の連なりの一端に自分が存在していると考えれば、それだけで生きる意味はある。己という存在を越えて「命」そのものに価値があると言って貰えると随分心強く感じた。

納得するし、この連なりを終わらせることのないようにまずは生きること、生き抜くことが大切である。
そしてこの連なりを続けていけるように子供たちを育てることが大事なんだろう。

生きていると苦しいことはある。今後も何もかも憂鬱な夜はやってくるかもしれない。だが、必ず目覚めよと呼ぶ声が聞こえる朝がやって来ると信じたい。

自分も信じて生き抜いていこうと思う。

何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)

何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)

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