透明カメレオン

道尾秀介著 2015年角川書店刊行
初出「信濃毎日新聞」(2013年〜2014年)など 単行本化にあたり加筆修正
最後の方まで着地点が予想も出来ず戸惑いながら読んだ。
最後に真相が分かったとき自分自身が変わらなきゃ成長しなきゃという気持ちになった。

そんなの、なかったことにすればいいじゃないですかって。
別の何か−嬉しいような、楽しいような、笑ってしまうような何かがあったことにすればいいじゃないですか


あのときこうしていたら。ああしていたら。
そんなことを考えても仕方がない。
行動の結果なんて誰にもわからない。
選択自体が間違いだったわけじゃない。
それなら、いまをつくり変えるしかない。
新しいいまをつくってしまえばいい。
たとえ目に見えない透明な世界だったとしても、本気が願えば、人はそれに触れることができる。

自分の今いる環境を嘆いてもしょうがない。
今いる環境を最高に気持よくするように、今いる環境の中で最高の結果を出すように変えていかないといけない。
本気で思い込み、願うことで少しでもそれに近づくことが出来るのであろう。
見えるものしか見えなくなってしまい、見ることができなくなった「透明カメレオン」を最後見ることが出来ただろうか。
このとき見ることが出来なくてもきっとこのまま続ければ見ることが出来るだろう。
そんな風に希望を感じる物語だった。

透明カメレオン

透明カメレオン

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