下町ロケット

池井戸潤小学館文庫刊行
初出『週刊ポスト』(2010年)加筆訂正後単行本(2010年)、2013年文庫化
第145回(2011年)直木賞受賞作品。
単行本でも読んでいるので再読になる。
再読にも関わらず最後の打ち上げの場面では手に汗を握るし、最後娘が花束を渡すシーンは涙が出そうになる。それぐらい面白い。
解説(村上貴史)で

そうした人間関係のなかで、営業担当者が、技術者が、経理担当者が、そして経営者が、それぞれが想う「仕事」について意見を語る。
大企業の観点で、あるいは中小企業の観点で、あるいは出向者の観点で。
それら多様な意見は、相違であって善悪ではない。真偽でもない。それぞれの立場での本音であり誠意なのである。
そうした意見のぶつかり合いを読むうちに、読者は、会社とはなにか、働くとはどういうことかを深く考えるようになるだろう。

と言っているように、様々な立場の意見が描かれていて、どれかは読者の働いている立場の意見と合致するだろう。それがこの作品を面白くしているのだと思う。
勧善懲悪ではあるが、それぞれが自分、自社の利益を追求しているのである。
決して悪いことでも、誤っていることでもなく、それぞれの立場で善いことであり、正しいことである。
これらを踏まえて自分がこれから仕事でどうしていけば良いのかを考えるきっかけになればと思う。

あんたたちから投げつけられた言葉や態度は、忘れようにも忘れられないんだよ。
傷つけたほうは簡単に忘れても、傷つけられたほうは忘れられない。

という言葉はホントにそう思う。誰に対しても誠心誠意対応しようと思う。

下町ロケット (小学館文庫)

下町ロケット (小学館文庫)

とっても面白かった!
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