さらさら流る

柚木麻子著 2017年双葉社刊行
初出「小説推理」(2016年〜2017年)
元恋人のヌード写真を流出させてしまった光晴の心が暗渠なのか。
塞ぐだけではさらさら流れることが出来ないことに気づいた光晴が再生できるか。

どんなに汚れた川でも、太陽の光を浴びて流れていたら、いつかさらさらと澄んだものになるはずなのに

こう言い続けてくれた菫(すみれ)を裏切った報いは受けなければならない。
そして自分の裸の写真をばらまかれてしまった菫の再生。
親友百合が菫の側に寄り添ってくれてることが菫の力になり、
菫の身体を一つ一つ取り戻す力強さを百合の絵は表現している。

画家はモデルに、自分の姿を見出すって何か読んだことがある。
鏡みたいなもんなんだよ。
だから、もし菫が私に勇敢さや才能を見出すなら、きっとあなた自身もそうってことなんだと思うよ

身体もそして心も回収し立ち直って欲しいと心から思った。

さらさら流る

さらさら流る

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