ヒポクラテスの誓い

中山七里著 2015年祥伝社刊行
初出 「月刊『小説NON』(祥伝社)」(2014年) 加筆・修正

  • 一 生者と死者
  • ニ 加害者と被害者
  • 三 監察医と法医学者
  • 四 母と娘
  • 五 背約と誓約

単位不足のため法医学教室に入った研修医・真琴を主人公にした物語。
一つ一つが事件であり解決していき、大きく全体で一つの事件を解決する。
全体の事件の存在はなんとなく分かるし、この人が...というのも分かるけど、
法医学についての知識欲も満足させてくれるので、それはそれで面白い。
海堂尊がよく言っているAiを思い出す。
不審死はすべて解剖できれば良いんだけどね。
「母と娘」がとても悲しい。
キャシーの

怒るのは、その相手に期待しているからです。
期待していた能力を発揮してくれなかったことに怒りを感じるからです

という言葉が印象的。怒ってくれる人を大切にしないといけない。

生きている患者を担当していた時には見えなかったものが、
死者と語らうようになってからはぼんやりとだが見え始めてきた。


それはきっと死者が寡黙なせいだろうと思う。
どれだけ問い掛けても死者はなかなか喋ってくれようとしない。
どうしたら答えてくれるのかと自問し続けると、
己に欠けているもの、相手の求めているものがゆっくりと浮かんでくる。

相手をじっくり診ること、これがとても大事。
生きている人を相手するときにも大事。
真琴、キャシー、光崎教授の登場する続編を希望。
ぜひシリーズ化して欲しい。
面白かった。

ヒポクラテスの誓い

ヒポクラテスの誓い

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