ようこそ、わが家へ

池井戸潤著 2013年小学舘文庫刊行
初出「文芸ポスト」(2005年〜2007年)加筆修正後文庫オリジナルとして発行
解説「池井戸潤の過去と現在がブレンドされた贅沢な一品」(村上貴史)あり。
ドラマ化されたので読んだけど、多少設定が変更されているようだ。
“身近に潜む恐怖”が怖い。
複数犯だったわけだけど、複数の人に少しずつ恨まれたり、妬まれたりしてるのかな。
自分もそうだったらどうしよう?
姿を見せない悪意の塊を受けた場合、どうしたら良いのか...とても悩む。
ただ、最弱主人公ではあるけれど、家族、部下など身近な人が味方であれば通常以上の勇気を出せる。
こうあるために常に身近な人とコミュニケーションを取っていないといけないのだろう。

倉田が望むのは犯人への厳罰ではなく、妻とふたりの子供たちとの平穏な生活に他ならない。
愚直で不器用だが、至極真っ当な人生をあゆんできたとの自負だけはある。そのどこが悪い。

まったくそのとおりである。
家族とともに心穏やかに暮らしたい。
怖かったけど、面白かった。

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