起終点駅 ターミナル

桜木紫乃著 2012年小学館刊行 初出『STORY BOX』vol.15〜27(「無縁」改題)(大幅な加筆改稿)
知人が死ぬということ、そういうことをうっすらと感じる短編集。

  • かたちないもの
  • 海鳥の行方
  • 起終点駅 ターミナル
  • スクラップ・ロード
  • たたかいにやぶれて咲けよ
  • 潮風の家

最後の「潮風の家」が心に染み入る。今まで生きてきたことで、心に引っ掛かっていることに決着をつけること、ケリをつけることがきっととても大事なのだと思う。

男はひとりでいると、いろいろと内側に向かって自分を掘り進めてしまうようだった。
あるときから先、反省を始めてしまうのだ。
その点女はたくましかった。


双方を見ていると、男の悩みの底の浅さが目立った。
人に言える程度の悩みに終始とらわれている。
あれこれと過去を思い煩うひとときが、彼らにとっていちばん心落ち着く時間なのかもしれない。

という言葉がとても心に残った。男は孤独に弱いと思う。
「起終点駅 ターミナル」が映画化されるとのこと。短編だし、正直あまり印象に残らない物語なので、どのように膨らませるのかとても興味深い。
桜木ワールドはホントくせになる。面白かった。

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