ガソリン生活

伊坂幸太郎朝日文庫刊行
2013年単行本 2016年文庫化

  • ロー
  • ドライブ
  • パーキング
  • エピローグ

単行本を読んでいるので再読。
解説(「現代の悪を横断する、愛すべき家族とその自家用車の冒険」津村記久子)付き。
さらにスペシャル掌編小説として「ガソリンスタンド」が付いている。
本当に上手。
小さな伏線が最後に一気に収束する。
気を抜いて読むことができないので疲れると言えば疲れるが、
気持ちよく収束するので心地よい疲れである。

人間は二つのことを同時にできない。
いや、正確に言えば、二つのことを同時にはできるけれど、
二つのことを同時にやると、三つ目に出現した不意の出来事に対応できないのだ。

最初に大きな印象を与えられると、人というのはなかなかそれをぬぐえないんだ。
いや、頭では理解できても、感覚的なものは変えられない

人間が働くのは、お金のためもあるけれどそれ以上に、
認められたい、役立ちたい、褒められたいという三つの欲求がある

単行本同様上記の言葉がとても印象に残る。
最後のエピローグも分かっていても楽しいし。
解説にもあるように

善良な人々を箱庭に入れてただ愛でるのではなく、悪もひっくるめた世間を渡っていく彼らの姿への信頼と、力強い誠実さが根付いている

である。
悪を最悪として描くことでより善が際立ってくる。
とても面白かった。

ガソリン生活 (朝日文庫)

ガソリン生活 (朝日文庫)

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