鏡の花

道尾秀介著 2016年集英社文庫刊行
初出「小説すばる」(2011年〜2013年)

  • 第一章 やさしい風の道
  • 第二章 つめたい夏の針
  • 第三章 きえない花の声
  • 第四章 たゆたう海の月
  • 第五章 かそけき星の影
  • 第六章 鏡の花

単行本でも読んでいるので再読。解説(杉江松恋)付き。
とてもきれいな作品。
5枚の鏡で見るそれぞれの思いを形にした物語。
どのような物語であっても、どんなことがであっても、また元の物語に戻るのかもしれない。
今の現実の物語こそが一番心地よい世界かもしれないし。

みんなが自分を捜してくれた。
母の手は、火傷の痕がある右の頬と、何もない左の頬を、同じようにあたたかく包み込んでくれた。
それだけでいい。

それだけでいいのである。
素晴らしい構成。
とても良かった。

鏡の花 (集英社文庫)

鏡の花 (集英社文庫)

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