氷の轍

桜木紫乃著 2016年小学館刊行
初出「STORY BOX」(2016年) 書き下ろし
今までの桜木紫乃作品とは少し趣が違う。
ドラマの原作だからか。(ドラマは録画しただけで見ていない...)
主要登場人物たちの孤独がとても目立つ。
みんなが自分の気持ちを内に秘め、日々の生活を送っている。
その気持ちが善意に向かったとき、善意と思えない人には悪意となっている。

善意のひとだったと思うんですよ。
言葉も行動も、なんにもずれがない。
ずれがないから、他人の嘘と都合にも気づかないし、気づけない。
善意しか優先するもの がないんです

その善意が果たして誰にでも善意なのか、
孤独な人間には指摘してくれる人がとても少ない。

いくら便利な 世の中になっても、人の感情だけはどうにもなりません。
過剰なものを削ることも出来なければ、希薄なものを濃くすることも 無理なんです。
けど、感情の希薄さに落としどころを見つけるのも、生きる作業のひとつじゃないかと思うんですよ

という言葉がとても心に残る。
ドラマも観なくちゃ...

氷の轍

氷の轍

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