朝が来るまでそばにいる

彩瀬まる著 2016年新潮社刊行
初出「小説新潮」など(2011年〜2016年)

  • 君の心臓をいだくまで
  • ゆびのいと
  • 眼が開くとき
  • よるのふち
  • 明滅
  • かいぶつの名前

少しホラーっぽいけど、人間の暗い部分、他人に見せない隠している部分なんかを意識させられてしまう。
こういう綾瀬まるの感覚、そして描写がとても好き。
「明滅」の

あなたの名前を呼べば、私は昨日のことや今日のこと、大事にされたことを思い出せる。
どれだけ遠くても、暗くても、受け止めきれない乱暴に晒されて、多くの物事に裏切られた気分になっていても、悲しいだけじゃなくなるから。
呼んで、唱えて、会えて嬉しかったなあって繰り返しながら、私という存在の認識が終わるまで、暗闇の底で光って遊ぶ。
それを、この世のどんなものにも侵させない

という部分がとても好き。
真っ暗な中から光を感じる。
怖いけどとても大好きな作品である。

朝が来るまでそばにいる

朝が来るまでそばにいる

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