恩讐の鎮魂曲 レクイエム

中山七里著 2016年講談社刊行
初出「メフィスト」(2014年〜2015年)

  • 第一章 被告人の従順
  • 第二章 被害者の悪徳
  • 第三章 証人の怯懦
  • 第四章 弁護人の悩乱

贖罪の奏鳴曲 ソナタ』に続く御子柴シリーズ。(第?弾はよく分からない...)
とても面白かった。
御子柴は『贖罪の奏鳴曲』で稲見から言われたように

自分以外の弱い者のために闘え。奈落から手を伸ばしている者を救い上げろ。
それを繰り返して、やっとお前は罪を償ったことになるんだ

を実践しているのに稲見はそれを許さない。
贖罪の形はいろいろあるのかもしれない。

お前の贖罪の仕方と俺の贖罪の仕方が違っていただけの話だ。そう深刻に考えるな

ということである。

それは想像力が欠如しているせいだ、と御子柴は思う。
誰も自分が事件の当事者になるとは本気で思っていない。
ある日突然、自分の運命が泥に塗れるなどとは露ほども想像しない。
だからどんな事件が起きても、安全地帯の中でしかものを考えることができない。

という言葉がとても印象的。
自分が見える側からだけではなく、相手や第三者からどう見えているのかを想像することはとても大事だと思う。
このシリーズをもっと読みたい。

恩讐の鎮魂曲

恩讐の鎮魂曲

@2016年@図書館