闘う君の唄を

中山七里著 2015年朝日新聞出版刊行
初出「小説トリッパー」(2014年〜2015年)加筆修正

  • 一 闘いの出場通知を抱きしめて
  • 二 こぶしの中 爪が突き刺さる
  • 三 勝つか負けるか それはわからない
  • 四 私の敵は私です
  • 五 冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ

本書は、中島みゆきさんの楽曲「ファイト!」から、作品の構想を得ています。

とのこと。
前半は幼稚園教諭お仕事物語で、後半は15年前殺人事件ミステリーとなっている。
ミステリーの部分は途中で犯人の予想がつくし、
いくらなんでも警察の捜査が杜撰だろうなどいろいろ突っ込みたくなる部分があるのでイマイチ。
でも前半の幼稚園教諭のお仕事部分のモンスターペアレントと闘う部分などはとても爽快。
最後、15年前の事件はとても気分の悪くなる事件だったけど、
挫けそうな自分を奮い立たせて子供たちを救う場面もとても気持ち良い。
この部分とかが「ファイト!」なんだろうな。

嘘を吐いたのはもちろん叱るべきですが、やろうとしたことは叱らずに、逆に誉めてやってください。

わたしは人の悪意、とりわけ善意の第三者なるものが如何に凶悪で卑劣な存在であるかを思い知らされました。

もう逃げることはしたくないんです
さっき、わたしのことを強靭だと言ってくれましたけど、全然そんなことないです。
わたしって自分で殴りたくなるくらい臆病で、狡くて、弱い人間なんです。
今にして思えばここに赴任した時に素性を隠したのも、やっぱりどこかで逃げていたからなんだと思います


そんな風に自分を評価するヤツに弱い人間なんていねえと思うがな。まあ、あんたのしたいようにするがいいさ

というような言葉が印象に残った。
面白かった。

闘う君の唄を

闘う君の唄を

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