我が家のヒミツ

奥田英朗著 2015年集英社刊行
初出「小説すばる」2013年〜2015年

  • 虫歯とピアニスト
  • 正雄の秋
  • アンナの十二月
  • 手紙に乗せて
  • 妊婦と隣人
  • 妻と選挙

家日和』『我が家の問題に続く奥田英朗の家族シリーズ第3弾か。
家族大好きな自分にはとっても安心して読めるし、何回も読み直したい気持ちになる。
今回のは「妊婦と隣人」以外は涙が出そうになった。
特に「手紙に乗せて」はいろいろ自分の身に置き換え、いろいろ想像できて涙が止まらなかった。
(ちょうど地下鉄に乗っているときだったのでヤバかった...)

子供が出来ないのは誰のせいでもないし、単なる巡り合わせに過ぎない、
よそとちがうからって、そんなことでおれたち夫婦はしあわせを見失ったりはしないし、
何か引け目を感じることもない

素晴らしい!

おじさんと若者とでは目に映る景色がちがうということだ。
若者には若者の世界があるし、人生経験が乏しいというのも、それはそれで貴重な時期だ

確かにそのとおり。
若者の経験のないことを笑ってはいけない。
むしろそれを利用した新たな未来を手助けしないといけない。

この歳になって伴侶を失うのは、自分の人生の半分を失うのと一緒だ

これはよく分かる。
伴侶を失ったら、自分は3ヶ月で死んでしまうと思う。

こんなことがいっぱいあったな、と康夫は思った。
自分の文学賞候補、子供たちの受験、そして今度の妻の選挙。
その都度みんなでそわそわしてきた。
家族の証がそれだとしたら、我が家はまずまずなのではないか−

いっぱい家族の思い出を作って、共有していきたいと思ってる。

「おとうさんのおかげ」

こんな風に言われたら、とても良い人生である。
とても良かった。感動した。

我が家のヒミツ

我が家のヒミツ

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