火星に住むつもりかい?

伊坂幸太郎著 2015年光文社刊行 書き下ろし
タイトルはデビッド・ボウイの「LIFE ON MARS」の和訳のつもりだったけど、実は違う意味だった...というネタがあとがきに載っている。
内容は『ゴールデンスランバー』の監視社会、国家権力側の話とそれに対抗する『魔王』『モダンタイムス』のような雰囲気を感じさせる。監視社会、群集心理、印象操作など怖いけど、実際にこういうことがおこなわれている国があるだろうと思ってしまう。

「すべての人を救わない」ことは、「偽善」だからだ。

というのはツラいなぁ。何もしないことが正義になってしまう。『砂漠』の「目の前の困っている人を助ければいいじゃないですか」という正義の方が好きだ。すべての人が目の前の困っている人を助ければ平和になると思う。けど、甘いんだろうな...あと昆虫の擬態などのネタもとても印象的。
ありとあらゆる部分が伏線となりラストに向けて回収されるのはいつもどおりで気持ち良い。
悪役がとっても悪魔的で本当に気分が悪くなるのもいつもどおりで気持ち良い。
とても面白くて、とても怖かった。

火星に住むつもりかい?

火星に住むつもりかい?

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