フォルトゥナの瞳

百田尚樹著 2014年新潮社刊行 初出「小説新潮」(2013年〜2014年)

この本を手にとった瞬間に
あなたの「運命」が、
変わるかもしれません。

と表紙裏には書いてある。
人間の運命が見えるというローマ神話に登場する運命の女神“フォルトゥナ”の瞳を持った人間がその見えた運命を変えてしまって良いのか。変えたらどうなるか、変えなかったときの自分の気持ちはどうなのかなどを描いている。変えればその場は何事も無かったかのように過ぎていくが、その変化によりもっと大きなとんでもない変化が起きるかもしれない。(バタフライ効果など)だから、運命に任せるがままの方が良いのかも。もし自分の行動が他人に影響するなら少しでも良くなる方向へ影響して欲しいものである。誰かにとって良いことは誰かにとっては悪いことかもしれないし、誰かにとって悪いことは運命だと言って諦めてもらえる程度のことだったら良いなと思う。
途中の葛藤の部分が長すぎて冗長な感じして飛ばし気味になった部分もある。ただ、エピローグの部分は予想してなかったし、それはとても驚いた。

彼が最後まで悩んでいたのも知っていた。
でも、私は彼に生きて欲しかった。
弱い私がそうしたように、多くの人を見殺しにしてでも、生を選んで欲しかった。
私との人生を選んでほしかった。

これは分かるような気がする。「世界がどうなってしまっても愛する人が危険なところに行って欲しくない」(有川浩塩の街』)というのはワガママだろうか。

フォルトゥナの瞳

フォルトゥナの瞳

@2015年@図書館