パレートの誤算

柚月裕子著 2014年祥伝社刊行 初出 月刊『小説NON』(2012年〜2014年)
副題(英題)として『Pareto's Miscalculation』と付いている。そのまま英訳か。
生活保護ケースワーカーの死亡事件を通して、生活保護受給に関する問題提起をおこなっている。だいたいはニュースやワイドショーなどで聞いたことがある内容ではあるが、それを抜本的に解決する手段はよく分からないので、継続的な問題提起が必要だと思っている。ケースワーカーという仕事はホント大変だと思う。生活保護の主旨を理解し受給している人に対応するのはやりがいを感じると思うが、それを利用しよう悪用しようとしている人に対応するには人出が足りな過ぎなんだろう。事件についてはミスリードさせられているだろうなとは思ったけど、気持よくミスリードさせられたと思っている。
タイトルに関しては...柚月裕子の前作品『蟻の菜園』同様、なんでこんなタイトルにしたんだろう?と思ってしまった。タイトルというのはある程度全体内容をイメージさせると気持ち良いのだが...ある一部分だけを切り取った内容から物知りを連想させるタイトルを付けているとしか思えない。内容はとても読ませてくれ面白かったのだが、タイトルの部分で損していると思った。

パレートの誤算

パレートの誤算

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