硝子の葦

桜木紫乃著 2010年新潮社刊行 書き下ろし
WOWOWドラマ化されたから読んでみた。ドラマを見てないけど...
いつものとおり陰鬱な雰囲気だけど、いつもと違いミステリー色が強くて好き。序章が最後の場面を伏線というかミスリードさせるための描写だったのか。途中の淡々とアブノーマルな関係を続ける怪しい雰囲気に引き込まれてすっかり忘れてた。二度読みして序章が効いていることに気付いた。倫子とまゆみを救出するシーンはサスペンス調だと思うし、それまでの作品とは一線を画する作品だと思う。あとは題名の『硝子の葦』の意味が分かりやすければ良いのだが...序盤で出てくる

湿原に凛と硝子の葦立ちて洞さらさら砂流れたり


自分が砂の一粒として流されてゆくという虚しい気持ちは、女ならば誰もが持ち合わせていることで、ある種の普遍も感じ得ました

ということから付けたのかな?“「砂」ではなく、「硝子」のように壊れやすいが、凛々しく立つ「葦」のように”という感じだろうか。
とても面白かった。出来ればもう少し“硝子の葦”をイメージした表紙画だったら良かったのに。
ドラマを見れば良かった...再放送しないだろうか...

硝子の葦 (新潮文庫)

硝子の葦 (新潮文庫)

@2015年@図書館