許されざるもの

樋口明雄著 2014年光文社刊行 書き下ろし
約束の地』の続編となる。
今回は害獣被害を防ぐために食物連鎖の頂点となるオオカミの復活導入について描いている。最終的に結論を持ち越しているが、そこまでに至る経緯等とても興味深く読めた。中国でのオオカミ調査においてオオカミなど野生動物と遭遇する場面、逃走したオオカミを追跡し対峙する場面は手に汗握る描写が続き、とても面白い。公安が関わる場面だけが不要だったかなと思うけど。
後記で記述されている

肯定派と否定派。いずれも互いに相手を「許されざるもの」としか見なさぬ究極の原理主義のように思えるのだ。
だったら、両者が少しでもあゆみより、少しずつ妥協し合うということがあってもいいのではないか。

という考えが基本にあり、現在関係の悪化している日中間のあり方にも言及しているのだろう。エンターテイメントであり、夢やロマンがあって、とても面白かった。
調査等大変だと思うけど、この系統で続編をもっと発表してもらいたいなぁなんて思った。
※2015年最初の読書作品

許されざるもの

許されざるもの

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