テミスの剣

中山七里著 2014年文藝春秋刊行 初出「別冊文藝春秋」(2013年〜2014年)

  • 一 冤獄
  • 二 雪冤
  • 三 冤憤
  • 四 冤禍
  • 五 終冤
  • エピローグ

冤罪がテーマで、冤罪に対する贖罪について描いている。
中山七里作品ではよく登場する渡瀬警部の若い頃の話で、渡瀬警部自身が冤罪事件に関わっている。重いテーマではあるが、あっという間に読むことが出来る。また、どんでん返しについても何となくだけど予想通りと言えるぐらいの分かりやすさ。途中、高円寺静という裁判官が登場するが、『静おばあちゃんにおまかせ』という作品に登場しているらしい。中山七里作品は全部読んでいるかと思ったら、これは読んでいないという...チャンスがあれば早めに読んでみよう。
高円寺裁判官が渡瀬にいう言葉がとても重い。

それほど自分のしたことに負い目を感じているのなら、あなたがその希望になればいいじゃないですか。
もう二度と冤罪を作らない、もう二度と間違えない。
自らそういう捜査を行う警察官になり、またそういう警察官を育てていく。
それが箱を開けてしまった者の贖罪だと思いませんか


わたしに済まないという気持ちがあるのなら、虐げられた人、暗闇の淵に堕ちた人の希望になるような刑事になってください。
そして真実から決して目を背けないこと。

逃げないこと、真摯に生きること、とても大事。テミスの剣ばかり振り回すようではいけないのだ。
面白かった。

テミスの剣

テミスの剣

@2014年@図書館