波濤の城 The Castle in Billows

五十嵐貴久著 2017年祥伝社刊行

  • プロローグ
  • Wave 1 メモリアル・オブ・レインボー号
  • Wave 2 ネプチューンの怒り
  • Wave 3 セイレーンの叫び
  • Wave 4 リヴァイアサンの嘆き
  • Wave 5 ネレイスの涙
  • エピローグ
  • 後書き

「神谷夏美シリーズ」第2弾。
第1段は『炎の塔』。
今回は海難事故。「ポセイドン・アドベンチャー」を意識しているらしい。面白くて一気読み。
「炎の塔」でも「波濤の城」でも嫌なやつを徹底的に嫌に描いていて憎しみをぶつけられるのでとても良い。
また神谷夏美の成長もまた見られてとても嬉しい。

わたしは誰も死なせません。
絶対に助けます。
諦めません。
誰かを見捨てて逃げたら、一生悔やむことになるとわかっています。
わたしはそんなに強い人間じゃないんです

という言葉は印象的だし、

あらゆる要素を総合して、一秒後に何が起きるか予測し、判断する能力を、消防士は厳しい訓練を通じて身につけている。
だから、消防士は互いの意志を確認しなくても行動が可能になる。

という言葉がカッコ良い。
後書きで著者が推しているパニック映画「タワーリング・インフェルノ」「ポセイドン・アドベンチャー」「大空港」を見てみよう。
また後書きで書いている

更に言えば、予想できなかった(想定外の)何かが起きた時、それに対応できるのは人間だけで、個人の判断、意志、大きく言えば「自分で考える能力」が、今後一層問われる時代になっていくのだろう、という思いで本書を書きました。

という言葉も肝に銘じておこう。

波濤の城

波濤の城

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