砂上

桜木紫乃著 2017年角川書店刊行
初出「本の旅人」(2016年)
女性編集者が一番印象に残った。
この女性編集者の存在がなければ令央は砂でしかなかったような気がする。
女性編集者が砂である令央の姿を変え、固めて、形にしていったのではないか。
そして形を持った令央がまた砂の姿を変えていくように思った。
女性編集者の

三人称のお話においてあなたは、視点ではなく透明人間です。物語とは無関係な第三者であることが大切です
文章で景色を動かしてみてください。景色と一緒に人の心も動きます。

という言葉がとてもためになる。
でも

無名の新人をばんばん世に出す編集者が、その何倍もの数の書き手をつぶして来たっていう現実に、いつか柊さんも気づくときが来ますよ

という言葉を聞くと恐ろしくなってくる。
面白かった。

砂上

砂上

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